1年前の風景

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三島由紀夫紀行文集

読みました。

 

三島由紀夫紀行文集 (岩波文庫)

三島由紀夫紀行文集 (岩波文庫)

 

直前に読んだ岡潔の「数学する人生」がどうにもこうにも自分には合わず、3分の2ほど読んだところで読むのを辞めてしまったおり、予備の本として旅行に持ってきたのがこの本でした(もちろん私は旅行には抱えきれないほどの本を持っていくのが常で、今回も1泊の旅行にもかかわらずこの2冊含めて6冊の本をカバンに入れて持ってきていました)。「数学する人生」の内容がどうも自分好みではなかっただけに、理性と感性が研ぎ澄まされた三島調に冒頭の航海日誌から「これだよ、これこれ」と思わずにはいられませんでした。

一冊読み切って振り返ってみても、巨大な太平洋をだた一隻白波を立てて渡る客船プレシデント・ウィルスン、旅が始まろうする予感、その一乗客としての三島、彼のカミソリのような理性と感性の混じるユーモア、冒頭の航海日誌が一番のお気に入りです。

数学する人生

数学する人生

 

旅行の時に読む本は旅行に関する本であったり、現地に関する本であることが求められます。自分にとって旅行とはそれ自体が目的であり手段であります。すなわち移動中の電車や飛行機の道中に持ってきた旅行本を読みこれから始める旅行に向けた気持ちを高めることが旅行の一番のだいご味であり、現地についてしまえば、旅行の目的はほとんど終わってしまったも同然です。

この三島由紀夫紀行文集はアポロの杯をはじめとした、三島の海外旅行見聞録や種々の雑誌に寄稿した2,3ページの国内の紀行文などが納められており、上記の旅行の本としてはまさにうってつけの本でした。