1年前の風景

書いて1年経ってから公開しています

ファイトクラブ

観ました。

とにかく最初の30分間の導入が最高です。
物質主義に毒されている主人公が、それを薄々感じていながらも諦めと自己満足の欺瞞でやり過ごす毎日。そんな中で何時しかインソムニアになり、癌患者たちのセミナーの中で虚構を演じながら、ホルモン不調で巨乳になった中年男性の胸で泣き、眠る。
オープニングから始まるぶづぶつとしたノイズのような感覚がだんだんと大きくなっていき、画面にチラチラと現れるテイラーことブラッド・ピット

今見せられているのは主人公の現実か?インソムニアが観せている白昼夢なのか?
設定、世界観、展開のテンポすべてが揃った最高の幕開けです。

一方で物語中盤の暴力性はかなりキツかったです。
作中ほとんど死者はおらず、むしろ登場人物たちは痛みの中に生きている実感を見出すので、暴力の度合いとしては「ほどほど」なのでしょう。しかし、普段の映画のなかで銃で殺されているのを見てもゲームの中のような感覚しかありませんが、ファイトクラブの中の痛みは、拳の1発、薬品の火傷すべてが自分が経験しているかのような痛みを感じました。

暴力性もひどく、ストーリーもかなり突飛なのにブラッド・ピットのかっこよさとオープニングからのテンポの良さ、これを1990年代に作ったという先見性で魅せられてしまう作品でした。