1年前の風景

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月の満ち欠け

読みました。

月の満ち欠け

月の満ち欠け

 

死んだはずの自分の娘を生まれ変わりを自称する少女が語る輪廻転成の話。それに付属する恋の話。ストーリーとしてはありきたりな内容ながら、単なる恋愛小説に成り下がることなく、現実感と非現実感が混ざった独特の読み味がある小説でした。

人物の描写やある場所や時代の設定がしっかりしていて、かつ文章や構成もうまくできている実力を感じました。特に主人公の壮年男性の描写が、よく言えば現実主義的なのですが、過去の色々な場面で事なかれ主義的に様々なことに傍観していき人生を過ごしてきたのだろうという人物の描写にリアリティがあってよかったです。

欲を言えば実力は感じるのでもっとストーリーも独自性があればとても良い話になるのにと感じます。