1年前の風景

書いて1年経ってから公開しています

読みました。

 

穴 (新潮文庫)

穴 (新潮文庫)


最近、図書館が芥川賞コーナを作ってくれてるのでいろいろ読んでます。というわけで純文学も最近ちょくちょく読んでいるのですが、純文学の感想文のほとんどが書きかけで止まっているため読書記録ががだんだん溜まってます。どうにかして解消したいですが、時間が経つごとにますますキーボードを打つのが億劫になります。

 

さて、本編の「穴」について。

今まで純文学を読んでよく意味がわからないことも何回かありましたが、この本も残念ながらその中の一つ。ほとんど意味を理解できませんでした。一応そこそこ本は読んでいる方なので芥川賞を取るくらいの本ならわかりやすかったりしっかりとした評価を得られている内容が多く、たとえ純文学であってもその文章の意味を理解できる読解力が自分にはあると思ってたのですが、この作家の小説の意図は全く読み取れませんでした。
表題作の「穴」では、田舎の生活、夫、義母、義祖父という現実と思われる世界と義兄、獣と穴、世羅、子供たちといった幻想世界のようなものたちが何を暗示しているのか、家族たちと織りなす小さなエピソードから何を読み取れば良いのかさっぱりでした。
残りの2作の連作も、いたちやアロワナの意味、そしてラストのタイヤ痕が何を示しているのか読み取れませんでした。
どの作品も表層的には素朴で平凡な設定やストーリーながら、読み進めていく中で読み手に行間の不穏さや緊張を喚起してきます。しかしそれらが進展することもなく、その不協和音のようなもやもやとした感覚のまま物語が終わってしまっという印象です。

正直文庫版などでこの小説の解説が欲しいかったです。