1年前の風景

書いて1年経ってから公開しています

キャプテン・サンダーボルト上

読みました。


伊坂幸太郎は嫌いだが、阿部和重は好き。
読むべきか読まざるべきか、苦悩すること3年くらい。ついに読みました。

 

結果、まだ上巻だけですがかなり面白い。二人のいい部分がうまく融合し、二人でないと書けないエンタメ小説に昇華されています。

 

自分の好きな阿部和重のぶっ飛んた設定(某国のスーツケース型核爆弾をいきなり渡される現代の吟遊詩人、米国の戦後の小麦輸出政策から始まる街のパン屋の破滅など)
と自分の嫌いな伊坂幸太郎のご都合主義的な登場人物同士の出会い方(ゴールデンスランバーのご都合さ加減は最悪でしたね)がお互い中和して程よいバランスになり質の高いエンタメ小説になっています。

特に阿部和重のファンとしては単独作の時は結構暴力性の高い表現も多く、登場人物たちが必ずしも幸福にならない彼の作風は他の人に勧めることに躊躇してしまいますが、今作は暴力性もだいぶマイルドになったので初めて読む阿部和重としてはかなりオススメです。


頼むからここまで褒めてゴールデンスランバーのオチだけはやらないでほしい。次の記事がなかったら察してください。