1年前の風景

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住友銀行秘史

読みました。

 

住友銀行秘史

住友銀行秘史


バブル崩壊直前の1990年頃に起きた住友銀行イトマン事件を極秘で内部告発した著者の個人メモを書き起こし、そこに著者が補足や説明を加えていくというスタイルの本。

あまりよくわからなかったというのが正直な感想。

大きな問題はふたつ。
①個人メモ書き起こしを構成の中心にしてしまっていること
メモ前後の文脈がよく分からない、大量の人物が関係性不明のまま突然出てくる、メモが端的すぎて説明不足と事件を知らない人が読むとかなり読解が難しい。

イトマン事件が複雑すぎるということ
あくまで内部告発する著者自身の目線からイトマン事件を追っているので、事件の多くが謎のまま終わってしまう。イトマン事件に関わるルポなどを読んで概要を把握してないので、結局なぜ住友銀行イトマンフィクサーたちの言いなりになったのか、どういうスキームで金を巻き上げたのか、一番知りたいところは分からない。

興味深かった点
著者は匿名ながら何度も国や幹部、メディアに内部告発文を送るにも関わらず、事態は歯がゆいほど動かないのが読んでいて不思議だった。
何百億、何千億の金がイトマンを通じて住友銀行からフィクサーに流れ出ていくのが誰の目にも明らかなのだが、住友銀行フィクサーと対峙するよりもむしろこの事態を利用した過激な内部の権力闘争に走る。フィクサーに取り入れられた会長側につきいて権力を握るもの、フィクサーを追放しようとするも内部闘争に怯え実行に移せないもの、そして権力を手放したくないがためにイトマン事件を認めることがてきない会長。
余りの自己保身と出世欲にまみれた住友銀行幹部たちの醜態(となかなか動かない行政)に中盤以降イライラさせられっぱなしだった。