夜想曲集
読みました。
夜想曲集: 音楽と夕暮れをめぐる五つの物語 (ハヤカワepi文庫)
- 作者: カズオイシグロ,Kazuo Ishiguro,土屋政雄
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/02/04
- メディア: 文庫
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好きな作家でも有名になると流行に乗って読んでいるミーハーと思われるのが嫌で読みたくなくなるのはなぜでしょうか。久しぶりにこの著者の本を読みました。
今まで読んだカズオイシグロのなかで一番面白かったです。 特に壮年期の英語教師が喧嘩中の旧友夫妻を訪ねる「降っても晴れても」はカズオイシグロにあまりないユーモラスな話でお気に入りです。
この本もそうですが、カズオイシグロの本を読むと「どうしよもないことはどうしようもない」、「過ぎ去ってしまったものはもう取り戻せない」という人生を重ねていく中で失ってしまったもの、諦めてしまったものに対する人々の機敏な感情表現が染み入ってきます。少しだけ人生を重ねることができた自分にも感じるようになったうまく言語化できない意識の沈殿物やまだ自分では認識できなかった感情が顕在して意識化されるような気がします。