1年前の風景

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聖の青春/三手詰めハンドブック

最近読んだ本について 

聖の青春

聖の青春 (角川文庫)

聖の青春 (角川文庫)

1時間書店をぐるぐる回ったが読みたい本も無く、ほとんどストーリは知っているがまだ読んだことがなかったなぁ、と消去法でこの本を選択。3時間で読了。
本来この本の中で初めて明かされたはずの村山のエピソードはあまりにもこの本が有名になりすぎて自分の中で新鮮さを失ってしまったことが何よりも残念でならない。今の自分ではこの本の面白さの50%くらいしか感じることができなかったと感じる。それでも十分に面白いのは村山聖という人の純真さと支える家族や将棋界の周りの人たちの優しさという題材そのものの魅力と、作者の大崎善生がそれを一番間近で見ていたというノンフィクション作品にとってこれ以上にない恵まれた環境の2つがあったからだろう。

印象的だったのは癌が転移し治療が絶望的とわかる最終盤に唐突に挿入される、元気だった頃の村山と羽生のエピソードだ。

「食事にいきませんか」と村山は好きな女の子をデートに誘うようにおずおずと申し出た。
「ああ。いいですよ、いきましょう」と羽生は快活に答えた。
「あの。僕がご馳走しますんで、僕の好きな店でいいですか?」と村山。
「はい、はい」と羽生。
そして、村山は羽生は福島食堂へと連れていったのだ。
「ここで、僕はいつも食事するんです。羽生さんはたぶんおいしいものは飽きるほど食べているでしょうから」
『聖の青春』より

おそらく本作中唯一の羽生と村山の会話シーンである。
同年代でありながら将棋界の歴史を塗り替えていく羽生への憧憬、自分の事を憧れの人知ってもらいたいという初恋の少年のような純真さ(と今と全く変わらない羽生の性格)を短い会話の中に感じることができる。将棋をしていなければ絶対に交わらなかったであろうこの二人は福島食堂で何を話したのだろう。羽生が村山のジョークにけらけらと笑ったという記述が続くが全く想像できない。
そして死を覚悟した村山の悲壮感漂う物語終盤だけに、この対照的に爽やかな青春のエピソードのイノセントさが心に突き刺さる。その後の物語が終わりの悲壮さをかえって引き立てていると感じた。




新装 3手詰めハンドブック

3手詰ハンドブック

3手詰ハンドブック

3月から将棋を指しはじめ、四間飛車の一つ覚えで将棋ウォーズを始めたものの全く相手玉が詰まない。一度、指導対局を受けたが、終盤が全くダメとのことだったので評価の高いこの本を購入。他の将棋本に比べ装丁がかなりオシャレ。外で読んでいても中を見なければ将棋の本と思われないだろう。
毎日20問くらいずつ解いて3周実施。3周してもまだまだパッと正解が出てこず30秒くらいは考えてしまうが、始めたころに比べてだいぶ解くスピードは早くなった。何より立ち読みで1手詰めハンドブックを手に取ったら、問題を見てすぐに手がわかるようになったので進歩を感じる。昔は1手詰めでも難しい問題は結構分からなかった。
5手詰めハンドブックを買ったので今日からは5手詰めに進む。半分くらいは解けるが3手詰めを始めた時に3手詰めを解く時間よりも確実に時間がかかっているのでしばらくはこの本に格闘することになりそう。
しかしウォーズでは依然として相手玉は詰まないし、自玉はすぐ詰むことばかり。